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12月, 2023の投稿を表示しています

畳職人の面白いハナシ 〜食事は早く済ませる〜

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  千葉県のある畳職人さんに食事に連れて行っていただいた時のお話です。 お仕事の話や、いぐさの産地の状況、相場の状況などお話をしながら二人でアジフライ定食を食べていました。話も盛り上がり、非常に和やかに食事をしていたのですが、畳職人さんはあっという間にかなりの量のご飯を食べ切っていたのです。 畳職人からご馳走していただいた、アジフライ。そのお店は「田舎レストラン」と謳っており平日にも関わらず店内は賑わっておりました。 私は思わず、「食べるのお早いですね!」と。 畳職人さんは「職人は食べるのが早くないといけないと、大将から教えられてきたんだよ。」と。その時私は畳職人さんの答えが腑に落ちませんでした。しかし、その後説明してくれると納得がいきました。 どういうことかというと、40年ほど前は畳職人へ毎日なだれのように、団地やアパートの畳の張替え、個人様や工務店、大工さんたちからの仕事が流れて来ていたのです。 当時は、現在のように畳製作機は発達しておらず、ほとんどが手作業だったとのことです。そのため、手作業で畳を寸法に合わせて制作しなくてはならず、早朝から深夜まで とにかく長時間作業をされていました。また、畳を制作するだけではなく、現場へと赴き 部屋の畳の状況確認や、寸法とり、そして工場へ畳を運搬するなど、とにかく慌ただしかったそうです。 まだまだ当時は、畳の床が藁でできたものが多かったため一枚あたりの重量も30kgだった中、大量の畳を部屋から軽トラックまで持ち運んでいたらしいです。一部屋には最低でも6枚の畳が使われており、アパートになるとそれが数十部屋、そして中にはエレベーターがない建物もあり、階段で運ばれていたことも・・・ 想像するところからしても非常に大変なお仕事だったことがわかります。 そのため、休む暇もなく現場を行き来し、工場に戻れば納期に間に合わせるために 少しでも早く畳が製作されておりました。 そんな中、当時修行中だった畳職人の親方は「飯は早く済ませないと、仕事終わらんぞ」 と厳しく指導されていたんだそうです。 今は畳製作機械の技術も発達し、畳も藁の床ではなく軽量な人口素材の畳床が圧倒的に多くなっております。仕事の量も年々減少する中でも、当時の勢いを感じさせるお話でした。

The structure of TATAMI

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This article explains the structure of tatami, a flooring unique to Japan. Tatami can be broadly categorized into three parts: the surface layer called 'tatami omote,' the decorative edge attached at the perimeter known as 'tatami beri,' and the foundational part called 'tatami doko.' TATAMI-Omote  The 'tatami omote' is the top surface layer of the tatami, which is the first layer encountered. The material used for the tatami omote is a natural substance called 'igusa,' known for being gentle on the human body.      The tatami omote is crafted by weaving igusa with hemp or cotton threads, creating small irregularities on the surface. When walking barefoot on tatami, these irregularities provide gentle stimuli to the soles of the feet, enhancing brain activation. TATAMI-Beri   Tatami beri refers to the decorative edge placed around the perimeter of tatami, typically sandwiched between the tatami omote and used to emphasize aesthetic design and the...

畳のサイズは地域で異なる!

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1.畳のサイズは異なる ●東日本 ●西日本 ●中日本 2.畳のサイズが異なる理由 ●歴史的背景 ●建築的背景 3.好きな大きさの畳にしたい場合は? 1.畳のサイズは異なる  私たちの暮らしに身近な畳ですが、実は地域によってサイズが異なるのです! 意外かもしれませんが、ざっくり分けると3種類に畳のサイズは分類されるのです。(厳密にはもっと種類は存在します) ●東日本  東日本では江戸間(業界用語では五八・ごはちと呼びます。)と言われる畳を使用しております。具体的には畳の短辺(幅)が約88cmで長辺(丈)が約176cmの物を指します。東日本エリアでは上記のサイズの畳が一般的には使用されています。近年では和室全体をコンパクトにしてよりコストを抑えるために西日本エリアでも江戸間の畳を使用することも増えてきております。大手住宅メーカーが取り入れているということから、今後もこの動きは増えてくるように思っております。そもそも新築に畳の部屋が入ること自体少なくなってきているのが現状なのですが。 ●西日本  西日本エリアではどうでしょう。このエリアでは本間・ほんま、ほんけん(京間とも言われる)と言われるサイズの畳を使用しております。 具体的には畳の短辺(幅)が約95.5cmで長辺(丈)が約191cmの物を指します。 つまり、西日本エリアで使われている畳の方が一枚あたりのサイズが大きいんですね。 理由は後ほど説明します。 ●中日本    地域は中日本エリアを中心に存在しており、三六・さぶろくと言われる畳も存在します。畳の短辺(幅)が約91cmで長辺(丈)が約182cmの物を指します。高知県や沖縄県などでも三六サイズの畳が使われます。現代でいうコンパネのサイズがこちらの畳と同じ サイズです。 2.畳のサイズが異なる理由  ここまで、畳のサイズについて説明してまいりましたがなぜ畳のサイズが地方によって異なるのかその歴史的背景と建築方法の観点から説明いたします。 ー歴史的背景  時は遡り戦国時代。当時の天下人・豊臣秀吉が採用した税収方法として、太閤検地がありました。一家あたりに収穫される税(当時は年貢米)を一家あたりの家の面積で徴収していたのです。すなわち、1間・いっけんを基準に徴収していました。1間とは、畳の長辺の長さを指します。  天下人が徳川家康の時代になると、より多くの年貢米を徴収す...