畳の減少を考える ②そこまでして畳は必要なのか!?

前回からのシリーズ第二弾で、「畳の減少について考える」の第二話となります。


前回はデータから畳の減少について考察してきました。

その時のまとめとして、


畳需要が減少している背景には、

世帯数は増えても使用量が減少している。

なぜなら

景気の後退や原価の高騰による、畳の優先順位の後退

フローリングの方が畳に比べて経済的合理性がある。


という内容を記載しました。

そこで今回は、畳の減少をについて

畳の特性で不便な点から考察します。


①畳は自然素材であるために、購入した状態から劣化の一途を辿る。


・日焼け

 とくに、収穫されて間もない畳表は水分を吸収しやすく、その結果黒ずんだりする恐れがあります。また、新しい畳表でも日の光にあたると1週間程で日焼けしてしまいます。


・畳表のささくれ

 畳表の種類によって強度は異なりますが、

長期間にわたって摩擦や負荷がかかる部位は、

ささくれや表面が擦れるなどがおこります。


②管理の手間


・カビやダニ

 畳は気温が26度以上、湿度が60%以上になるとカビが発生しやすくなります。

また、新しい畳表には栄養分が豊富に含まれているため、

ダニが発生しやすくなります。

これらのダニやカビの発生を防ぐためには、こまめな室内換気や掃除などの管理をしなくてはなりません。昔は、畳を一枚一枚外してから風通しの良いところなどに

おいて乾かすなどができました。住宅環境の変化に伴い、畳干しも容易ではなくなりました。



③ランニングコスト


・畳替えにかかる値段

 フローリングを使って入れば、フローリングそのものからランニングコストが発生するということはありません。フローリングの上に寝転がりたいときには、ラグやカーペットを敷けば済んでしまいます。

 しかし、畳には劣化に伴う畳替えの必要があるので、ランニングコストが発生します。6畳の場合、安くて5万円ほどで国産の畳表に変えることができますが、

5年おきに畳替えをするとなると、20年の間に20万円のランニングコストが自宅の床に要することになります。


そこまでして、畳は必要なのか?

 ここまで、畳を使用する上で不便な点を記載してきましたが、著者の見解として、畳の部屋・畳文化は必要だと考えます。


①子育てに不可欠

 以前までは、マンションやアパートに一室はあった和室。しかし、これらの畳表は「いい畳」が使用されておりませんでした。不動産屋側のランニングコストを抑えるために、中国産の安い畳表が大半のアパートマンションで使われておりました。

ところで、「いい畳」とは何でしょう。私の考えるいい畳とは、畳表の表面にある山と谷がはっきりとしていることです。

山が高い、「麻綿」の縦糸を使用した畳表


 畳表の山と谷がはっきりとしていると、凸凹ができます。この凸凹が足の裏を通して脳を刺激し、活性化させると言われます。

また、赤ちゃんを畳の上で育てることは、転倒しても怪我の心配もありません。

学生にとっても畳を使用することで嬉しい効果があることがわかっております。

 北九州私立大学の森田博士によると、畳の上で学習することにより集中力が向上したというデータも挙げられています。


②身分の差に関係なく、同じ視線で向き合える

 料亭や座敷など、話し合いが行われる場所としての機能も持つ和室。その和室では、お互いにあぐらや正座で腹を割って話す。向かい合って、身分が異なるものでも同じ視線の高さで話し合うことができる、特別な空間を演出するのです。


③飴色に焼ける畳を楽しむ

 畳は自然素材であり、日焼けしてしまうという特性を上げました。

しかし、八代産の畳を使えば日焼けしても全体が飴色になり、焼けた時の畳の部屋が「黄金の部屋」のようになります。

時間の集積からくる「さび」を退色した和室から楽しむことができるのではないでしょうか。


 お昼寝に寝転がる、お風呂上がりに寝転がる、食事の後に寝転がる。あるいは、畳の上で坐する事で真剣に物事を考えたり…。家の中に限らずとも、旅行先の旅館や銭湯の畳の敷いてある休憩スペース、料亭など。


 振り返れば、思い出は畳の上だったりすることがあるのではないでしょうか。

お部屋の一室に畳の部屋があることは、日本人の私たちにとって安らぎをもたらし、ストレス社会を生きる日本人に、精神的な豊かさを与えてくれます。


 ご自宅の一室にこのような「和の空間」を導入してみてはいかがですか。


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